酒井さんはいつも車の後部ドアをあけ、つかまり立ちをして、片手で車椅子を担ぎ上げると、ひょいとトランクに収めます。そのあとつたわるようにして運転席のドアをあけ、乗り込みます。
日々のこととはいえ、ひとつひとつが首尾よく行なわれるせいで、ぼくはなんの手もだせずに見ているばかりです。障がいを持ったかたのどこをどうしたら助けになるのかもわからずにいる自分がちょっと情けなくなります。
後部座席にのせてもらって、車は一路「剣崎なんば」の産地である白山市へとむかいました。金沢市内から30分くらいでしょうか。車のなかで、事業所が抱えている問題やこれからのこと、カレーについてなど、いろいろと話しながらいきました。
「道の駅でごはんにしましょうか。」ということで、昨年オープンしたばかりの「道の駅 めぐみ白山」に車を寄せました。
あいにく定休日ということで「地場産品売り場」は閉まっていましたが、レストランはやっていました。
「剣崎なんば」を練り込んだまぜ麺があったので、ふたりともそれを注文しました。これがなかなか絶品で、辛い麺に甘みのきいたひき肉、のり、ねぎなどがトッピングされていて、よくまぜてくださいとのことでした。
食にはうるさい酒井さんも、めずらしく「うまい、うまい」と舌鼓を打っていました。唐辛子の麺は強烈な辛さがあるのですが、「剣崎なんば」の美味しい辛さで、次から次へと食べたくなります。あっという間に大満足で食べきりました。
白山市の一角で作られている「剣崎なんば」。その作り手の農家が連なる道をぐるりと通って、金沢にもどりました。
途中、「ふれあい工房たんと」が休憩室を運営している「老人福祉センター鶴寿園」に立ち寄って、珈琲をいただきながら、ふたたび作戦会議をひらきました。
ここの休憩室では「たんとカレー」も食べられます。すぐよこのテーブルのご婦人ふたりがカレーを注文したので、さっそくお礼とご挨拶をする酒井さんでした。

今回の取材は、短い時間とはいえ、いろいろとわかることが多い、実りある訪問となりました。やはり直接行って、見て、感じて、話すことの大切さを感じました。
「たんとカレー」売上げ倍増を目標に、さてどうしたものかと考えています。4月には酒井さんが東京に営業しにやってきます。それまでにロードマップをつくるつもりです。